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そう思い、ふと高松さんを見る。
すると、お別れの挨拶として、二人も抱き合っていた。
おっさんの口が動いていることから、二人は小声で会話をしてると思う。
けど、何の会話をしているのか分からなかった。
「なぁ、拓弥。」
ツンツンと肩を叩かれたので、振り返ると策弥が真横にいた。
そしてこっそりと俺に耳打ちをする。
「次、いつ会えるか分からないし、ちょっとやろうぜ。」
「何を?」
「だからね、」
そう言って、策弥はボソッと俺に言った。
策弥の言葉を聞き、俺は思わず口角を片方あげる。
それ、面白うそうじゃん。
俺から離れる策弥を見て、俺は「いいね、賛成。」と答えた。
おっさんと高松さんのお別れの挨拶が終わるまで、俺たちは島の皆と挨拶を交わす。
少しの間のお別れなのに、皆寂しそうに俺達を見ていた。
策弥も一人一人に抱きつくなど、盛大なお別れ会が繰り広げられていた。
「拓、策、そろそろ行くぞ。」
策弥が最後の一人と抱き合った後、おっさんが声をかけた。
俺達は頷き、そして一歩、また一歩とその場から離れる。
その後を、島の皆が着いてきた。
「どうやって本土に行くの?」
荷物を背負い、策弥が小走りでおっさんに近づく。
高松さんに段ボールを乗せた段ボールを頼んで。
「反対側の海辺に、ヘリが止まっているそうだ。それで行くんだよ。」
「え?ヘリって、ヘリコプターの事?」
「あぁ、そうだ。策たちは初めてだろう?空を飛ぶ乗り物に乗るのは。」
「うんっ!」
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