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隣ではしゃぐ策弥を視界の隅でとらえ、俺はふと空を見た。
へぇ、ヘリコプターか。
本でしか見た事ないから、ちょっと楽しみだな。
「拓弥、前を向いてないと、転ぶぞ!」
「おばあちゃんが、その荷物運んであげようか?」
「拓弥、前!前!」
後ろから、沢山の声が聞こえる。
俺は振り返り、笑った。
もちろん、荷物はそこそこ重いので、丁重にお断りした。
先を歩く策弥の数歩後ろに俺が歩く。
そして、島の皆は俺の腕を触ったり、服をつかんだり。
ちょっと面白かった。
おっさんを先頭に、青樹島の住人の行進は、裏の海辺まで続いた。
エンジンを止めて、一つのヘリコプターがそこにあった。
初めて見るヘリコプターに、俺も策弥もテンションが高かった。
「うっわ、すっげー!」
「確かに。かっこいいな。」
ヘリコプターに近寄り、ちょっと触ってみる。
ひんやりとした鉄が、手に伝わってきた。
もちろん、俺達だけじゃない。
島の住民もヘリコプターの周りに集まった。
「俺達、これに乗るんだっけ。」
「あぁ。」
「空を飛ぶんだ~。なんか、楽しみ!」
既に知らない大人が乗っており、荷物を先に乗せてもらった。
俺、策弥の順で荷物を中へと運ぶ。
そして、高松さんの力も借りて、段ボールも先に乗せた。
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