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「うっし、準備はオッケーだな。あとは君たちが乗るだけだ。」
「「・・・・。」」
いざその時になると、言葉が見つからない。
やっぱり、皆と離れるのは寂しい。
暗くなる俺たちの顔を見て、高松さんは数分だけ時間をくれた。
「おっさん!」
ヘリコプターから離れ、俺と策弥は一目散におっさんに近づく。
そして、またタックルし、抱きついた。
「やっぱり、さみしいよ。」
先に策弥が弱音を吐いた。
「俺も、寂しい。おっさん、やっぱり一緒に・・・。」
「だーめだ。まずは二人。」
おっさんは頑なに拒否した。
そんなおっさんを見て、やっぱり悲しくなる。
島の皆もそうだった。
誰かのお通夜みたいに、空気が重い。
涙が出てきそうだった。
「おっさん、最後に一言いい?」
そんな沈黙を策弥が破る。
俺も、おっさんも、島の住民も、皆策弥を見た。
「俺、青樹島が大好きだ!島の皆も俺の大事な家族!皆、皆、大好きだ!そして・・・」
海を背景に、策弥は大声で言った。
両手を広げ、皆に最後の言葉を言う。
「おっさん、いや、お父さんも大好きだ!」
「・・・・っ!!!!」
おっさんが口元を右手で覆う。
島の皆も、涙を流したり、鼻水をすすったり、嬉しそうに策弥の言葉を聞いた。
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