第二章

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あまり島の反対側は使わない。 波も荒いし、森しかないこの場所は、何かがない限り行かない。 けど、島の住民は森の奥へと進んでいく。 何かがない限り。 そう、戦争がない限り。 「確か、あの奥はシェルターが・・・。」 「シェルター?」 黙っていた高松さんが口を開いた。 俺と策弥は視線を外さないまま、そのまま説明する。 「シェルター。戦争時の避難場所だよ。」 「森の中は結構入り組んでて、空からも地上からも見つかりにくい場所なんだ。」 「それに、結構頑丈で、よく皆が浸水しても、ここは大丈夫みたいなことを言ってたよ。」 策弥はさらりと答えると、俺は全て分かった。 変な違和感。 疑問が全て晴れた。 歯車が全てはまった。 「まさかっ!!!!」 大声をあげて、窓にへばりつく。 信じられなかった。 見たくなかった。 波が揺れ、島が揺れる。 動機が激しい。 息が段々と荒くなる。 「えっ?島が揺れてる?!」 策弥も島の異変に気付いた。 そして、叫ぶ。  
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