第二章

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「君たちは生き残らないといけない。」 嗚咽をもらす策弥をあやし、高松さんはそうつぶやいた。 「それが、俺とあいつの約束だ。」 「・・・高松さん、は、何か聞いているんですか?」 涙と鼻水で出ずらい声を、絞り出すように出す。 すると、高松さんは無言で胸ポケットから二枚の封筒を取り出した。 真っ白な封筒には、それぞれ、俺と策弥宛だった。 高松さんは、それを俺たちに手渡す。 「全ては、ここに。これを読んでもなお、降ろしてほしいなら俺は容赦なくここから蹴り落とす。分かった?」 「・・・・。」 俺たちは黙って頷いた。 そして、渡された封筒を封切った。 拓弥へ、から始まる手紙は、合計三枚に渡り書かれていた。 ズビッと鼻をすすり、文字を読む。 バババと、ヘリの音が段々遠くなる気分だった。 手紙を読み、絶句した。 そこには、俺達には知られていない事実が書かれていた。 感染病のこと。 本当の親のこと。 けど、誰の仕業かは書かれていなかった。 父さんはあえて、その人の名前を伏せていた。 そして、 「アイドル?」 策弥がぼそりと呟いた。 そう、アイドルになったらどうだ?と書かれていたのである。 何で?と思いつつ、先を読む。
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