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「うう…」
いつものサロン。
いつものメンバー。
ただひとついつもと違うのは、真墨が小皿を目の前に置いたままテーブルに突っ伏して唸っている事だけ。
何故唸っているのかと言えば、小皿の中を見れば一目瞭然。真墨がこの世で最も嫌うモノのひとつ、グリンピースが小山を作る程こんもりと盛られていたからである。
「…なぁ、姉さん…」
「ダメですよ。今日こそ絶対に食べて下さいね、真墨。」
「うぅ…」
残して良いか、と聞くよりも前にきっちりとさくらに釘を刺され、再びヘコむ真墨。
「…じゃあ映士!お前野菜好きだろ?!コレ全部食っ「えないんだよ、コレが。お前のグリンピースは一粒たりとも食うな、とのお達しが出てるからな。さくら姉さんから。」
流石さくら。考えられる事全てを封じているその有能さは、味方だと頼もしいが敵となるとこの上なく恐ろしい。
「あきらめてぱっと食べちゃえば?」
「それが出来てりゃ苦労はしてねーよ。」
脳天気だが正論の菜月に真墨はふてくされたように返す。
確かにそれが出来ていればこんな所で延々唸っていたりはしない。
「そのまま食べるんじゃなくて、何かに混ぜたり味付けしてみたら食べられるんじゃないかな?ハンバーグとか、コロッケとか。」
「コイツ、それでも除けて食ってたぜ?」
蒼太の提案も虚しく却下。どうやら勘の良さが災いし、どんなに細くて刻んで混ぜてあっても絶対に分かってしまうらしい。
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