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「…ねぇ、真墨は菜月ちゃんの事どう思ってるの?」
「……?」
いつものように悪戦苦闘しながら報告書をまとめていた真墨の背後から、ひょっこりと肩越しに頭を出して蒼太が声をかけてきた。
言われた事の意味が上手く理解出来ず、真墨は暫く思考が停止。
「あ、勿論『仲間』とか『家族』とかそういうのはナシね。」
そう釘を刺されてようやく質問の意図を理解し、みるみる内に茹蛸のように顔を赤くする。
「べっ、別にアイツの事はそういう目で見た事ねーよ!妹…そう、妹みたいなモンだっ!!」
「えー?ホントに?」
にやにやと笑う蒼太に、真墨は更に顔を赤くして慌てて叫ぶ。
「それ以外何もねーよ!!」
「…じゃあ僕が菜月ちゃんに告白しちゃっても別に良いよね?」
「…はぁ?!」
蒼太の思いがけない言葉に、真墨の思考は再び一瞬停止。
そして今度は先程までとは違う意味で顔を真っ赤にして怒鳴り付ける。
「駄目だ駄目っ!」
「何でー?別に真墨はそういう風に菜月ちゃんの事見てないんでしょ?別に良いじゃん。」
相変わらず余裕の笑みを浮かべる蒼太に、真墨の苛立ちは更にヒートアップしていく。
「駄目だったら駄目だ!アイツは…そう、俺はアイツの兄貴代わりなんだから俺が認めた奴じゃなきゃ駄目なんだ!!」
「ハイハイ、今回はそういう事にしといてあげる♪」
「…ッ、蒼太ーっ!!」
「あはははは♪」
スタスタと言いたい事だけ言って離れて行く背に、訳の分からない苛立ちのままに怒鳴り声をぶつける真墨だったが、蒼太にそのダメージは全く無いのだった。
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