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バキッ!!と言う鈍い音と共に、口の中に鉄っぽい味が広がる。
殴られた時に口の中を切ってしまったのだろう。
「…おい、覚悟はできてんだろうな?」
口の中に広がる血をペッと吐き出して、3人組を睨んだ。
男たちは俺の言葉を聞いてゴクリと唾を飲んだ。
「お前等から手を出してきたんだ。
これは立派な正当防衛だから。」
俺は拳を振り上げて男どもに向かって行った。
喧嘩には自信があったが流石に1対3では、何発か喰らってしまい、顔も数カ所傷を付けられてしまった。
それでも3人組を撃退して、袖で血を拭い、美人の方に向き直る。
「大丈夫かよ?」
美人は口元に手を当て、真っ青な顔をしてこっちを見ていた。
「それは私の台詞よ…。
血が出てるじゃない!!」
「あぁ…額は軽く切っただけでも派手に血がでるから…。」
「そんな事どうでもいいから!!
私に着いて来てっ!!」
そう言うと美人は俺の手を掴み、引きずる様にして歩いて行く。
「おいっ、どこ行くんだよ。」
「手当てが出来るところよ。
私の所為で怪我したんだもん…。
それくらいさせて。」
それっきり何を言っても無言で俺の手を引き続ける美人。
しばらく歩くと立派なマンションの前でピタリと足を止めた。
オートロックの扉にカードキーを差し込みドアを開ける。
「ココ私の家だから安心して。」
そう言ってまた俺を引きずって中に入って行った。
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