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「またかよ?
昨日行ったばっかじゃねぇかよ!!」
俺もトワイライトは好きだ。
好きだけど…流石にそんなハイペースで行こうとは思わない。
「何よ、悠斗が聞いてきたんじゃない。
ね、トワイライトにしよ?」
「わかったよ…。」
俺たちは授業を早々に切り上げ(本当はまだ5限があったんだけど)トワイライトへ向かった。
学校から歩いて15分もすると、居酒屋などが密集している通りに出る。
その通りを曲がったところにトワイライトはある。
言われなければ気付けない様な外観、人通りの少ない道。
それでも繁盛しているのは、俺ら白闌〈ハクラン〉の学生のおかげもあるだろう。
ドアを開けるとチリンと小さな鈴の音が俺たちを迎えた。
「悠斗じゃないか、いらっしゃい。
早苗ちゃんもこんばんわ。」
「こんばんわマスター、早苗のリクエストで今日も来ちゃった。」
「そうか、気にいって貰えたみたいだね。」
マスターこと佐々木<ササキ>さんは少し白髪の交じった40代後半と思われる男性だ。
俺は大学進学の際に、地元から出てきたので1人暮らしを満喫している。
ただ料理はめっぽう苦手で、女と切れて新しいやつが見つかるまでは、マスターの飯を食いにくるのが当たり前になっていた。
「早苗ちゃんは何飲む?
またドライマティーニでいい?」
マスターは俺が何時も頼むジャーマンビールを俺の前に置きながら早苗に問いかける。
「今日はジントニックからにしようかな?
あ、マスターの特製ドレッシングが掛かったサラダ、今日も食べたいな。」
「早苗ちゃんのお願いなら張り切って作るよ?」
きっとマスターも若い頃はモテたんだろうな…。
いや、今でも充分モテてるけど。
いい年なのに常連の中にはマスター目当てで飲みにくる女性客も何度か見ている。
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