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「この世界で真実を探してください。時に真実は嘘よりも残酷でしょう。それでも、貴女は知らなければならない。それがこの実験のヒントでもあるのですから」
ぷつりと何かが切れる音がして、急に辺りは静かになった。
しばらくしてから、部屋の中にはゆったりとしたオルゴールの音が流れ始める。
金縛りから解かれたように跳ね起きた私は、もう一度改めて部屋を見回す事にした。
立ちあがった状態で部屋を眺めると、その部屋は意外に狭いようであった。
天井から吊るされたメルヘンな飾りに上部の空間を支配されていて、圧迫感を覚えていたからかもしれない。
しかし、この部屋の持ち主が幼い子供だと考えれば、丁度良い広さなのか。
謎の男の声はあれっきりで、眠りを誘う様なオルゴールだけが延々と鳴っている。
なんて変な夢だ。
この子供部屋といい、あの放送といい。
てっきり私は詩織と仲直りした夢を見るものなのだと思っていた。
今まで通りににっこりと笑いあい、他愛もない話でおしゃべりに花を咲かす。
そんな夢が見られるものなのだと思っていた。
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