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「あら、もう居たの?」
私は突然の少女の声にハッとした。
いつの間にか背後に一人の少女が立っていたのだ。
少女はフリルのたっぷりついたピンクのドレスを纏い、パープルの大きなクマの人形を抱えていた。
明るい色の長い髪を横で二つにまとめ、くりくりと小動物の様に可愛らしい目でじっと私を見つめている。
「こんにちは」
何か会話をと、私は微笑んで少女に声をかけた。
「こんにちはねぇ。
あなた今何時か知っているって訳?この部屋には窓も時計もないというのに、何を判断基準に『こんにちは』なのよ。適当な事言わないで」
少女はやけに大人びた口調でそう言うと、すたすたと部屋の奥に進んで行き、天蓋のついたベットに横になってしまった。
確かにこの部屋には時間を把握できる物がない。
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