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彼は椅子に深く腰掛け、足を組んだ。
部屋の中央に浮かぶ球体を見る。
「ソフィア、見てごらん。彼等は『蟻』を飼うのだそうだよ・・?」
傍らに控える少女に向かい声をかけるが、彼女は何もその瞳に映していないのかと言う様な、硝子玉の様な目でひたすら前方のみを見つめ続ける。
「透明の入れ物に、蟻を捕まえて来て入れるんだ。それからたまに餌を与えて、その中の蟻達の生態を観察する。まるで命をその手に握る神様の様にね」
彼はソフィアと呼んだ少女の髪をそっと撫でた。
「面白いだろう? 私たちがこうやって人間を観察し続ける様に、彼等もまた何かを見つめ続けるんだ。ソフィア、考えた事があるかい? 蟻を飼う人間をこうやって我々が楽しんで覗くように、もしかしたら、人間を飼う我々をもっと大きな誰かが覗いているかも知れないよ?」
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