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私はそこまで書いた紙をくしゃくしゃにした。
「ばぁーかみたい」
声に出して言ってみても、自分の声は部屋の壁に吸い込まれていってしまって、それを聞く人はいない。
深夜の学校、鍵の閉まった体育倉庫などに人が入ってこられる訳がない。
汚いマットの上に倒れこむ。
世界が崩れ落ちた様に揺れて、歪む。
世界って何なんだろう。
私は考える。
このまぁるい青い星のことを世界と呼ぶんだろうか?
それとも、広い広い宇宙全部のことを言うのだろうか?
いや、本当はそんな大きなものなんかじゃなくって、私というものを取り巻くものたち、それが世界なのかもしれない。
だとすれば、今、この私の世界はなんてひどい世界なんだろう。
私は埃臭い小さな部屋にたった一人だ。
明かりは小さな窓から差し込む月明かりのみ、なにより部屋に鍵がかかって出られないだなんて。
私の世界は本当にこんな小汚くて薄暗い世界なんだろうか?
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