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「どうにでもなれ!」
そう言って虚しくなる。
私は空っぽだ。
何にも手にしていない。
私が持っていたはずのものは干からびて砂になってしまったのだ。
もうここを出ようという気力さえない。
出たって私の世界は変わらない。
そう思うと、いっそここに居たいとさえ思う。
私が見ていた幸福は私がみた夢にしかすぎなかった。
自分に都合の良い夢を見て、喜んでいた。
だから目覚めた時に絶望した。
私はあの時の詩織の顔を忘れない。
高校に入った時からの親友だった、あの詩織の歪んだ微笑みを。
私をここに閉じ込めて、笑いながら帰って行ったあの声を。
私は忘れない。
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