夢~その弐~

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「毎回起きてたんだ」 -男の独り言-  過去に見られたことがあったけど、それは偶然で、しかもたった一度だけのことだと信じて疑っていなかった。  すやすやとかわいい寝息をたててぐっすり眠っているものだと思っていたのに、しっかりと観察しているではないか。子供とは恐ろしいものだ。今後はなにか対策を考えなければならない。  しかし今思えば、こういうことをほかの友達とかにいってはいけないよと口止めを指示しなくてもよかったかもしれない。  なんてったって一日おきだ。息子の友達から親に知れたら、あそこのお父さん意外にやるわね、なんて見直されるのではないだろうか。見た目とは違って案外タフなのね、なんて。女房も羨ましがられるかもしれないし…。  この歳になってほぼ毎日、妻を愛している旦那がどれほどいるだろうか。逆に愛されている妻がどれだけいるだろうか。皆無だろう。ニヤリ。  いいふらさないかな、あいつ。大抵は、いわないようにといえば逆にいいたくなるものだがな。  いえよ、いっちゃえよ。約束を破ったからといって、今回は怒らないぞ。  いえ。いうんだ。もうすぐ運動会じゃないか。それまでにオレの株を上げるんだ。  いわねぇんだろうな…あいつ。  いってほしいな…。  いいや、自分でいいふらそ。  なんてったって一日おきだからな。
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