妄想の恋する2秒前

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「いった……」 最悪。 足パンパンにはっちゃってんのに… マジいてぇ… 「大丈夫!?」 つりあがったあたしの大きな瞳で睨み付けてやった。 「大丈夫なわけっ…」 ねえだろ、って言いたかったんだけど。 シミもホクロもない白い肌。 サングラス越しに見える澄んだ瞳。 整った目鼻立ち。 「痛かったよね…本当にごめんね…」 あたしはパクパクと口を動かした。 70キロを超えているあたしを軽々(でもないけど)持ち上げ、立たせた。 「病院行く?歩けそう?」 「あっ……いえ…だ、だい…じょぶ…です…」 彼は薔薇でも飛び交いそうな美しい笑みを浮かべた。 「よかった。本当にごめんね。」 颯爽(さっそう)と再び自転車にまたがり、彼は走り去っていった。 あたし、鈴木 アンナが恋した瞬間だった。
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