へたれワンコ?

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えーと、まだとらちんが山中に最初に話しかけてから、そんなにたってない時期の小話になります。     要は、まだそんなに調子づいてない時期の山中と、とらちんです(笑)       * * * * * *       「あ、佐藤くんだー!」   「佐藤くーん♪」   学校での昼休み。   廊下を歩いていた山中は、女子の可愛いらしい歓声にビクーッと身体をこわばらせた。   そうして、ブンブンッという音がぴったりなくらいの勢いで辺りを見渡す。   顔はこわばり、異常に怯え…見た目、完全に挙動不審な男である。   だが、山中としてはそんな周りの目は気にしてられない。   何よりも、あいつ…佐藤の視界に、自分は入るワケにはいかないのだ。   (ど、どこだ、佐藤…)   と、キョロキョロ辺りをうかがっていると。    どーんっ!   「佐藤くーん♪♪」   佐藤の方へ走っていってるのだろう、女子のグループに山中は突き飛ばされた。   それはもう、廊下に寝そべる程に思い切り。 勢い良く。   「う、うぅ…」   「お、おい、大丈夫かよ?」   「うぅ、とらちん~っ」   高橋(とらちん)が、あまりの勢いのよい山中の転びに、慌て手を差し出すと   半泣きで、高橋に抱きつく山中。   「あー、ほら泣くなっ、抱きつくなっ。」   「だってさ~、うわーんっ。」   変わらず、抱きついたままの山中。   (……まあ、結構抱きつかれんのに慣れちまったなー……。)   それだけ、女子から嫌われ真っ最中の山中であった(笑)
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