4人が本棚に入れています
本棚に追加
はじめに
とにかくすごかった。
みぞおちをえぐられるような感覚だった。
こんなにも強烈な感覚を与えられた映画は、今まで経験がない。
ルワンダの首都にある学校。平和監視の目的で国連軍が駐在しているその学校に、主人公の英国人青年ジョーは教師として赴任する。不穏な噂を耳にしても、学校に流れる穏やかな時間の中でジョーは平和の訪れを信じて疑わなかった。民族の対立などはすでに過去のこと、彼はそう考えていた。
しかしまもなくしてクーデターが勃発。長年燻り続けてきたフツ族とツチ族の対立の火種は、これを機に一気に爆発する。学校には、フツ族からの虐殺を恐れたツチ族の人々が大挙して押し寄せる。学校内はかろうじての安全を保ちながらも、各地では凄惨な虐殺行為が繰り広げられていく。その後も状況は悪化の一途をたどり、国連軍はついに撤退を決定。白人たちは軍のトラックに乗り込み、ただ殺されるしか道のない人々をそこに残したまま、去っていく──…。
と、いうのが粗々のストーリーなのだが、私のこの文章ではきっと何一つ伝わらないだろう。私のこんな陳腐な言葉なんかでは、とても表現しきれないものがこの映画には詰まっている。
この作品を観たとき、私は自分の限界を突きつけられた気がした。
立っていられないくらい、めまいがするくらいに私は打ちのめされていた。
だけど、それは私が認めるべき自身の限界だった。私の認識は甘く、何一つわかってはいなかった。
答えは見えない。
過去の過ちを私たちは克服できてなんかいない。ただ時が流れ、まるでそれが終わってしまったことのように勘違いしているに過ぎないんだ。
「ルワンダの涙」は、私にそれを教えてくれた。
私が感じたそれらのことがほんの少しでも伝わればいいと思い、今これを書いている。
最初のコメントを投稿しよう!