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彼の勇敢な行動から我々が学ぶべきはもちろん大きい。
たがしかし、偉人を賛美するのはあまりに容易く、映画の可能性を狭めるものである。結局、観客はスクリーンに写し出されるヒーローの姿を見て、悦に浸ってしまうからだ。観客はそこに満足して、その先を考えられなくなってしまうのである。
これが、安易に偉人を扱ってしまった、「ホテル・ルワンダ」のもつ最大の足枷であった。
その点で、偉人ではなく無力な人々に焦点を当てた「ルワンダの涙」の切り口は、非常に画期的だったと言える。
“なぜ、その時、人々はその悲劇を食い止めることができなかったのか”
…その単純な問いは、最も難解な答えを求めている。それを導き出すためのヒントは、“その時何もできなかった人々”を知ることでこそ顕在化されるのではないだろうか。
「ホテル・ルワンダ」ももちろん、実話を元に悲劇を伝える素晴らしい作品である。
しかし、よりその先に踏み込んだのは「ルワンダの涙」であったと言えるだろう。
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