第一章 編入

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朝目覚ましが鳴り、 寝惚けながらパジャマで階段を下りて行くが、 隙に両親の影は無い。 ダイニングキッチンのテーブルの上には、置き手紙が1枚置かれていた。 (初登校から遅刻するんじゃないよ?帰りは何時も通りになります。) その手紙を見て時計に目をやる。 8:43分…。 え…!! 目覚ましで起きた筈なのに、暇に遅刻らしい…。 『やべ!まじかよ…。』 親の手続きミスのせいで、入学式に間に合わず、途中編入という形で今日が初登校になってしまったが、 初日早々から遅刻とは先が思い遣られる…。 足早に階段を上り、自分の部屋の時計を見るが、さっき見た時間から5分も経っていなかった。 『あれ?おかしいな?時計壊れたかな?』 一人呟きながら、新品の香りがするシャツの袖を通す。 ブレザーを着て鞄を持つと、そのまま家を飛び出していた。 電車のソファーに座り、少し落ち着きを取り戻してから気付いたが、顔も洗わずに出てきてしまっていた…。 色々考えても後の祭り、 これ以上考えるのを止め、 鞄から学園のパンフを取り出して眺めて見る事にする。
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