第一章 編入

7/10
前へ
/79ページ
次へ
次の授業が始まるが、教科書を貰うのを忘れていたせいでチンプンカンプンだった。 休憩時間になり、橘さんに事情を説明すると、さっき来た道を遡り職員室に向かう。 中に入り、先生を捜して説明すると先生も忘れていたらしく、苦笑しながら教科書を渡してくれた。 教室に戻ると、 『場所解った?この学園迷いやすいから…。』 と橘さんが声を掛けてくれる。 『さっき先生と来た道を遡ってみたら何とか行けたよ。』 と笑いながら返答した。 程なく予鈴が鳴り、次の授業の用意をする。 『此処はこうであるからして……。』 (オイオイ…、これは本当に高一の授業なのか?) 数学の授業なのだが、教科書が有ったところで解らない。 ふと、隣の橘さんを見る。 黒板を書き写しながら問題を解いているのだろうか?真剣にノートと黒板に目が行き来してるのが解った。 (頭良いんだろうな…。) そんな事を考えていると、僕が呼ばれている事に気がついた。 『オイ!ちゃんと聞いているのか!え~と…、誰だ?』 『僕でしょうか?』 『そうだ!余所見してるんじゃないぞ!』 先生に叱られ、クラス中に笑われるのだった…。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加