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そんな 土方に怖じける事もなく‥
「兄上すごいな!有名人だ!」
「やっさん、俺も有名人だ!こんな地味なやつまで俺の事知ってるぜ!サインの練習しとこうかな~♪」
「お、吉。第一号はあたしにくれ!」
二人は何か勘違いし、キャッキャッと 話が弾んでいる。
「どうします?」
口が引き攣り気味に 言う 山崎と呆れ気味な土方。
そんな時、玄関から 声が聞こえてきた。
「お~い、帰ったぞ~!」
その声に反応した土方が 瞬時に "マズイ" と判断した。
もしかしたら こいつらは罠かもしれない――そんな事を考えていたが 弥生は 土方に こう言った。
「あのさ、あたし確かに桂 小太郎の妹だけど寺子屋時代に知り合ったからね。血は繋がってないし。兄上は身寄りのないあたしを俺が兄になると言ってくれたから妹になっただけだし、攘夷戦争辺りからあたし一度も会ってないよ。」
「は‥」
「‥そうなんだ。」
「こいつら やっさん疑ってんのか。あんな指名手配のやつと関係ねぇ‥ムグッ!」
「吉、黙ってな。」
手で 吉之助の言葉を遮断した 弥生は 土方に向き直った。
「それと‥あたしは武器を持ってません。なんなら、身体調べてみます?」
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