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19時に夕食のチャイムが鳴った。
浩太は仕事を終わらせ、隣に居る雄三と話をしながら食堂へ向かった。
「1ついいですか?」
浩太が言うと何でもどうぞ、と快く応えた。
「君みたいな人が、何でこんなところに居るのですか?」
「それはですね…
その日から5年前、僕は病気持ちの妻と娘の3人暮らしでした。
ある日、今まで働いていた新聞配達の仕事がクビになりました。
僕はとても悔やみました。
このままじゃ妻の病気が治らない、と。
僕は金の欲しさの余り、ある犯罪を犯してしまいました。
銀行強盗。
包丁を持ち、ニット帽を被り、マスクをつけてすぐに銀行へ行きました。
そこで僕は重大なミスを犯してしまいました。
金を入れる袋を家に忘れたのです。
しかしそれに気付いたのは、銀行員に包丁を向けた時でした。
そして逃げようと思ったのですが、近くにいた警備員に抑えられ逮捕されてしまったのです…。」
「そうなんでしたか…。じゃあ今も君の奥様と娘様は家に?」
「はい…。」
「そうですか…。それは辛いですね。」
「…」
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