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真っ白な部屋は、相変わらず消毒の匂いがした
むせ返るほど嫌いだったその匂いが、今ではすっかり慣れてしまった
それだけで、どれだけ時が経っているかわかってしまう
目の前に横たわる彼女だけが、変わらず時を止めているのに
「……っ」
語りかけてもなんの返答もないことはわかりきっているのに、いつも言葉にして言ってしまう願いを寸前で止めたのは何回目だろう
目に映る顔が穏やかすぎて、寝ているだけだと錯覚するのは何回目だろう
ぼんやりと頭の中でそんなことを考えながら、白い布の上に力なく乗った細い手を握った
もちろん、握り返されることはない
暖かい手なのに
哀しくて、でも涙は出ない
泣く資格は、自分にはなかった
「…由香里……」
悲痛な想いがこもった自分の声が、白いベッドに横たわる愛しい人の名前を呼ぶ
返事が返ってくることはない。わかりきっていても、名前を呼んだ
そして、何度止めても結局は口にするのだ
「…目を、覚まして…歌ってくれ…」
いつ叶うかもわからない、一生叶わないかもしれない、悲痛な願いを
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