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霧也はため息をついた
昇降口の自分の下駄箱の前で、一枚の紙を手にしてうなだれる
“話したいことがあります。放課後、2年A組の教室にきてください。待ってます。”
紙に書かれた可愛い文字が、いっそう憂鬱な気分にさせてくれる
(めんどくさ……)
早く帰りたいのに、と心の中で悪態をつくが、無視すればよけいに面倒なことになるのはわかっていて、しょうがないから行くことにする
ほかより少しだけ容姿が整っている霧也には日常茶飯事なことだが、正直嬉しくも何ともなかった
女性に感心がなく、恋愛なんて今まで経験したこともない
友達には「一回くらい付き合ってみれば?」と言われるが、関心もないのに付き合いたくない。それ自体、無駄なことのような気がするから
そんなことを考えていると、いつの間にか教室に着いていて内心げっそりする
見渡してみれば女子が3人立っていて、「きたよ」、「頑張れ」、と中心にいる少女にほかの2人が声をかけている
それももう見飽きた光景だった
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