574人が本棚に入れています
本棚に追加
―――――――
―――――
――――――――――
「かぁめ?どったの?」
ぼーっと回想に耽っていたようで、不思議そうに俺を呼ぶ声に気付いた。
あの頃から随分時間は経って、目の前にいるじんは男らしくなって、お茶碗は何代目かの物に変わっている。
もちろん俺も大人になって、料理もうまくなって失敗することもなくなった。
「やっぱりかめのみそ汁、俺好きだなー」
「そりゃ良かった」
ずずっと二人でみそ汁啜って、何気ないこんな時間を好きだと思った。
「最初、ちょーしょっぺぇのだったのにな」
思い出したようにくつくつ笑い出す、じん。
「これからもずっと作ってやるよ」
「当たり前じゃん」
成長した分だけ、みそ汁がうまくなった分だけ、お茶碗が変わった分だけ…
色んなモノが変化していく中で、
二人一緒にいる、それだけはこれからも変わらないモノ。
fin.
最初のコメントを投稿しよう!