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手に持っていたノートをぼとりと落としてしまった俺を不思議そうに見つめる、声の主。
言い慣れたいらっしゃいませも、ちゃんと言えなかった。
だって、だって…
(めちゃくちゃ、かっこいー)
「…山下の代理で取りに来たんすけど」
「え、あ、はい!お伺いしております」
ドキドキとうるさい胸の音を知らんぷりして、いつも通りの対応を心掛ける。
お釣りを返すときに触れた指先とか、少し笑ってくれた顔とか、心地いい声とか。
このまま帰すのも勿体ないけど、どうしていいか分からない。
(ばか!あほ!俺のいくじなし…)
そう思った俺に代理の人はぽつり一言。
「また来ても、いいっすか?」
「え、あ…心より、お待ちしております!」
「…ありがと、」
あ、少しあかくなった耳が見えた。
またドキドキ。
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