6歳

8/12
前へ
/350ページ
次へ
母は帰ってくると 「ちぃは偉いね。今日もちぃのお陰でお母さんとっても楽だよ、ありがとう。」 決まって私の頭を優しく撫でてくれた。 母に頭を撫でて貰えるまでが私の幼稚園からの日常生活。 今考えれば、何て退屈な日常だったろうと思う。 母に頭を撫でてもらう、 毎日その為だけに泣きながら私は家事をしていたんだから。 臆病者な私は、4時くらいになり辺りが暗くなると、電気を付けに行く事さえ怖くて、でも付けても誰もいない事に寂しくて涙が止まらなくなっていた。 母が帰って来て初めて、 孤独から解放される…そんな気分だった。
/350ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1443人が本棚に入れています
本棚に追加