弐 空と海と陸、憂鬱につき局地的に天災の恐れ有り

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  「おいおい風音……またなんかやらかしたのか?」 「いや、なんで自分なんですか? とーやの可能性もあるじゃねーですか」 とーやと談笑しながら朝から騒がしい教室に入ると、まるで空気が凍ったかのように全ての音が雲散霧消しました。 ついでに澄空さんと顔合わせるの気まずいなーなんて懸念も一緒に吹っ飛んでいきました。     それだけならまだ誰かが何かやらかしたんだなーと思い込むことで、許容範囲に収められるのですが。     「熱い視線を集めてるのは間違いなく風音だぜ?」     「とーやの目は節穴ですか? 今回ばかりは自分じゃありません、心当たりがねーです。みんな、とーやが大好きなんですよ性別に問わず」 「性別問わず人気を博しているのは風音だろ……なら試してみるか?」 「えぇ、臨むところです。その自信打ち砕いてやりますよ。そして敗者を笑ってやるんです、自分の席から」 「じゃ、俺もそうするかね」 お互いに頷き合いツツツーとスライド移動をします。さて、敗者を笑ってやりましょうか。     「……あれれー? 予想と大分違う展開になってますよ?」     このあと着席してとーやに飛びっきり嫌味な笑顔をお届けするつもりだったのですが。   視線を集めているのは自分でした。ちょっと何か陰謀めいた何かを感じます、何か。まだクラス替えして二日目ですよ? なんですか、この結束感。仲間外れですか、そうですか。     仲間外れは自分だけじゃなさそうですが。自席から嫌味な笑顔を向けてくるとーやとか、この状況にあたふたと困惑してる龍鳳院さんとか、不在の澄空さんとか。     ともあれ。     「とーや、ちょっと御手洗い行きませんか?」     ビクンっと脈打つ空気。クラスメートの血走った目が怖いです。飢えた獅子のような、いつ飛び掛かってきても可笑しくない目をしています。     自分はこの目を知っています。友人に一人、ことあるごとにこの目をする男がいますからね。     「貸し壱、な?」     「恩に着ます」     肝心な時に助けてくれる親友に感謝して、二人連れ立って御手洗いに向か──。 「ふっ、そうは問屋が卸さないぜ? バカと伊吹!!」     おうとしたところで立ちはだかる影が。     「あ、貴方は……!!」     この影の正体は一体!?     【次ページで明らかになるよ☆】  
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