仕事

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「俺の出す漆黒の球体は、あらゆる物を吸い込み消える。吸い込まれた物がどこに行くかは俺も知らない。」 束は床に捨てた手錠を拾いあげると、ゆっくり犯人の方に歩み寄っていく。 「これが俺の能力だ」 束はさらに言葉を付け足す。 「ブラックホールだと?ありえねぇ・・・」 「俺に言わせりゃ髪の毛が針になるのもありえねぇよ」 束は言いながら犯人に近づく。 「そ、それ以上近寄るな!そこから動くな!!」 犯人は慌てて立ち上がると人質達が座る方に後退した。 「動けばこいつらを殺す。この銀行から出ていきな!」 犯人はそう言うと、針になった髪をひとりの女性に近づけた。 女性は目に涙を浮かべて束の方を見る。 「わかったらとっとと出て行け!俺は気が短いんだ」 束は足を止め、犯人を見つめる。 その表情に笑みはなく、犯人に対しての怒りで満ちていた。 「ひとつ言っとくが、能力で人質を傷つけたら・・・命の保証はしねぇ」 「うるせぇ!!!」 犯人は再び髪の毛の針を束に向かって飛ばす。 だが、束は右手に小さなブラックホールを作ると針を全て吸い込んで消した。 「救えねぇよお前・・・」 束は右手に拳を作ると、静かに強くつぶやいた。
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