仕事

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「こ、この化け物がぁ!」 犯人は人質を捨て、針になっている髪を元に戻すと裏口に向かって走り出した。 「あ、てめっ!」 それを見た束も慌てて走り出す。 「あんたらは正面から逃げな!」 束は走りながら人質達に言い捨てる。 犯人は扉を開けて、外へと続く廊下を走る。 「逃がすかよ!」 束は走りながらブラックホールを出現させる。 現れた漆黒の球体は轟音をあげ、犯人を吸い寄せる。 廊下に続く扉を飲み込み、球体の側には空気が渦巻いていた。 「うわぁあああ!!!」 犯人は宙に浮き、束に向かって一直線に飛んでいく。 犯人が漆黒の球体に飲まれようとした瞬間、球体は消え、犯人は束に取り押さえられた。 束は犯人がブラックホールに吸い込まれる寸前に、能力を解除したのだ。 束は犯人が逃げないように手に手錠を掛ける。 犯人はジタバタともがくが、束の力が強く、逃げることはできなかった。 「逮捕だ馬鹿野郎。塀の中で反省してろ!」 もがくことを止めた犯人に、束は煙草に火をつけながら言った。 「ちくしょおおお!」 人質達が逃げ、誰もいなくなった大きな銀行内に、犯人の叫び声は大きく響き渡った。 束は口から煙を吐き出すとため息をついて携帯電話を取り出した。
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