喪失

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「そんなんじゃねぇよ」 ゼルはふてくされるように言った。 それにジェームズは笑みを浮かべる。 「いやぁ、パートナーでもない男女が街を仲良く歩いていれば誰でもそう思いますぜ?」 ジェームズは頭を手で掻きながら言う。 サラは申し訳なさそうに苦笑し、軽く頭を下げた。 「だから、違うっつーの」 ゼルは即答する。 「でもお似合いですぜ?」 そう言われてゼルはアビーに目を向けた。 アビーも同様にゼルを見ていたらしく、二人は目が合った。 アビーはゼルと目が合うと同時にそっぽを向いた。 ゼルも同じくアビーから目を離す。 「照れてるんですかい?」 ジェームズはさらに茶化しにかかる。 「るせぇな・・・俺をおちょくりに来たのかよ?」 ゼルは細目でジェームズを睨みつける。 「いやいや、とんでもない。俺らも本部に戻ろうとしただけでさぁ」 ジェームズは手を振って否定する。 「あんた達、束縛コンビね」 不意にアビーが言った。 言われた二人は照れたように同時に首をかしげる。 「束縛コンビって・・・そんな名前ついてんすか?」 ジェームズはとまどいながら答える。 「知らないわ。聞いたことがあるだけ・・・」 アビーはすんなりと言った。 「ははは・・・」 ジェームズは苦笑する。 「本部に戻るなら一緒に来るか?つってもそっからそこだけどな」 「じ、じゃあお言葉に甘えますかね」 ゼルが言うとジェームズは歩き出した。 続いてサラも移動する。 「これからよろしくです」 サラはそう言うと、ペコリと頭を下げた。 「お、おう」 ゼルは頭を掻きながら返事を返す。 アビーはそうでないが、ゼルはこの二人とは初対面である。 ゼルは軽く頭を下げ返すと笑顔を作った。 四人は徒歩で本部に向かう。 集められたSCH捜査官。 実績に伴った実力のある捜査官達が本部に集う。 彼ら、彼女らは戦いの果てに何を見るのか・・・? SCH、脱獄囚、そして、ティタン。 全てのピースは、何に繋がるのか・・・ 物語は動き出す。 明日に発動するゼウスの計画によって・・・・・・
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