始動

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ヘイルが持ってきた袋に入っていたのは食料だった。 ゼウス達はそれを均等に分け、食べ始める。 ゼウスは鎖を床に置くと、アルミニウムでできたパイプを手に取った。 そしてそれを見つめる。 「今日やります」 皆が食事をしている中、唐突にゼウスは言った。 「何をだ?」 ノバが尋ねる。 「昨日言ったでしょう?計画をですよ。少しハードな計画をね」 ゼウスはパイプを眺めながらつぶやく。 メンバーはゼウスの言葉に耳を傾けた。 次の計画。 その言葉が食事中のメンバー達の集中力を研ぎ澄ます。 「で、その内容は?」 ノバが言うとゼウスはパイプで窓の外を指した。 「SCHに宣戦布告します」 「はぁ!?」 「なんだと!?」 ゼウスが言った瞬間、ヘイルとノークは同時に声をあげた。 ゼウスは微笑するとパイプの先を移動させ、椅子に座るキャリーに向ける。 「今回は彼女にも働いてもらいます」 言われたキャリーは目を見開く。 「ちょっと待て」 計画の説明に入ったゼウスを、慌ててノバが引き止める。 「SCHに宣戦布告?どういうつもりだ?」 「言った通りですよドレイクさん。SCHにちょっかいを出す」 「な・・・」 あまりの唐突ぶりに、ノバは言葉を失った。 代わりにノークが口を開く。 「リスクが高すぎる。目的はなんだ?」 「おかしなことを言うんですねぇ」 ゼウスはパイプの先を床に向ける。 「あなた方は政府を潰したいんでしょう?ならSCHを潰すのが目的に辿り着く最短距離ではないですか」 ゼウスに言われて、ノークも押し黙る。 「皆さん勘違いをしているようですが・・・」 言いながらゼウスは床の鎖を拾いあげた。 「ただ喧嘩を売りに行くのではありませんよ。いつも通り、周到な準備はしてありますから」 そう言い放つゼウスの表情は自信たっぷりだった。 「今さらビビってんじゃないですよ。脱獄囚ともあろう者が・・・」
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