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ゼウスの挑発的な言い様に、シャンクやヘイルは顔をしかめる。
「フン、俺は構わないぜ?SCHに殴り込もうがな」
シャンクは微笑しながら言った。
「同感だ」
ノバもシャンクに同意する。
「それでいいんですよ」
ゼウスは満足したような表情で言った。
そして鎖を床に置き、ナイフを手に取るとキャリーに先端を向ける。
キャリーの頬に、一筋の汗が伝う。
「しかし、準備が整っているとは言え・・・リスクが高いのは事実」
言いながらゼウスはキャリーを縛っている縄を切り始める。
「今日、おそらく私達はバラバラに別れることになるでしょうね・・・」
それを聞いたメンバー達は驚愕する。
「バラバラになるとはどういう・・・」
「ですがそれも計画の内」
ヘイルの質問を打ち消すようにゼウスが言い放つ。
「今日、私が起こす事件の後・・・別れてしまった場合の三日間は自由行動とします」
キャリーの縄を切りながら、ゼウスは続ける。
「SCHとの戦闘、一般的な犯罪、何をしても構いません。なんならこの三日間、ずっと隠れていてもね」
ゼウスが持つナイフはキャリーを縛る縄を切っていく。
そして、縄が完全に切れた時、キャリーはとっさに椅子から飛び退いた。
しかし、床に置いてあった鎖がキャリーに向かって蛇のように移動し始め、逃げようとしたキャリーを再び拘束する。
キャリーは鎖に巻き付かれて床に倒れるが、ゼウスは見向きもせずに話を続ける。
「ただし、自由行動の三日間。この間に捕まってしまった場合。私は助けません、勝手に死んで下さい」
その言葉を聞いたメンバー達に戦慄が走る。
「無事に三日を生き残れたなら、その時はこの場所に来てください」
そう言ってゼウスはパイプを床に押しつける。
「SCHを挑発し、この街を戦場に変えます。サバイバルの始まりです」
ゼウスは言い終わると立ち上がり、キャリーを縛る鎖の端を持って引きずるように出口に向かった。
他のメンバーも黙ってついて行く。
ノバがゴードンを起こし、内容を説明。
脱獄囚達は本格的に動き出す。
長い一日が始まる。
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