37450人が本棚に入れています
本棚に追加
「なっ・・・!」
本部のオフィスでテレビを見ていたゼル達は驚愕する。
何げなくニュースを見ていた三人だが、そこにゼウスが映ったかと思うと次の瞬間、積み上げられた鉄鋼がビルの下に落ちた。
そこで、カメラは壊れたのか今テレビに映っているのは灰色の砂嵐だけ・・・
三人はとっさに立ち上がるとすぐにオフィスから出た。
ドアの前には入って来ようとしていたのかジャックが立っている。
ゼルはジャックと顔を合わせると顎(あご)でエレベーターを指した。
「ニュース見てたか?」
「・・・ああ」
「行くぜ」
ゼルが言うと、三人はエレベーターに向かって歩き出した。ジャックもそれに続く。
「ジェームズとサラは?」
アビーがジャックに尋ねる。
「・・・資料室」
ジャックは低い声でつぶやきながらエレベーターのボタンを押す。
アビーは携帯を取り出してサラに電話をかける。
ゼウスの起こした事件を知らせる為だ。
「今ので何人か死んだかも」
ルアナが悲しそうな表情でつぶやく。
ゼルは心配そうにしているルアナの肩に手を置いた。
「心配すんなって・・・束も来るだろうし、今日は奴らを倒せるさ」
ゼルは言ってから後悔した。
今の言葉は慰(なぐさ)めになどなっていない。
エレベーターの到着と共に、ドアが開く。
「サラに連絡したから二人と下で合流するわよ」
アビーは携帯を閉じながら言った。
四人はエレベーターに入り、一階を押してドアを閉める。
ゼルはゼウスのとった行動よりも、気になることがあった。
(来るか・・・来るよな)
ゼルが心中で自分を納得させている原因は束である。
昨日の束は戦意を失っていた。アルドによってもう傷は癒えてるハズ。
それでもこないならその時は・・・・・・
ゼルは拳を握り締めた。
一階に下りると、ジェームズとサラはすでにそこで待っていた。
「行くぞ!」
ゼルが叫ぶと、六人に増えたメンバーは急いで駐車場に向かった。
テレビに映っていた場所はそう遠くない。
六人はSCH捜査官が犯人護送の際に使用するワゴン車に乗り込むと、サイレンを鳴らしながら現場へと向かって行った。
最初のコメントを投稿しよう!