始動

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車から降りたのは六人のSCH捜査官。 ゼル、アビー、ジャック、ルアナ、ジェームズ、サラ。 この六人は本部にいた為、誰よりも早く現場に着くことができた。 「どうなってんだ・・・こりゃあ」 目の前に広がる惨劇に、ゼル達は言葉を失う。 クレーンが落ちた際に大量の砂煙が舞い、人々の叫びや悲鳴は決して止むことはない。 地元の警察や付近の建物の警備員などが、必死に救助活動を行っている。 その内の一人が、ゼル達の側に駆け寄ってきた。 「ここは危険です!離れて下さい」 警察の一人が言うと、ゼルは無言で手帳とバッジを取り出した。 「SCHだ。犯人の方はまかせな」 ゼルがそう言うと、警官は素早く敬礼のポーズをとる。 「失礼しました。では・・・」 そう言って警官は救助活動に戻った。 ゼルは手帳を懐にしまうとビルの屋上を見上げる。 すると、屋上か惨劇を見下ろすゼウスと目が合った。 その瞬間、ゼウスの顔は不気味な笑みに包まれる。 そしてメガホンを口元に当てた。 『ようこそ、SCH捜査官の皆さん・・・』 ゼウスは自信ありげな口調でゼル達を挑発する。 『あなた方が世界を支配する時代は終わりです。これからは私が神となる』 「何言ってんだこのイカレ赤髪が!」 ゼルは屋上に向かって叫ぶが、その声がゼウスに届くことはない。 『あなた方にはここで死んでもらいます。その前に、これを見て下さい』 ゼウスはそう言うと屋上の中央に行ったのかゼル達からは見えなくなった。 が、少しして、ゼウスは再びゼル達の前に姿を現す。 ゼル達は驚愕した。 戻ってきたゼウスの隣に、もう一人立っていたからだ。 ゼウスに誘拐されていた女子高生、キャリー・スターリン。 その人物が、体に鎖を巻かれてそこにいる。 『今からゲームをしましょう。楽しく、残酷なゲームをね』 ゼウスはそう言うと、キャリーの背中を押した。 「え・・・」 バランスを崩したキャリーは、そのまま地面に向かって落下した。
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