始動

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ゼウスはビルから落ちたキャリーの鎖をつかみ、その落下を止める。 今のキャリーは一本の鎖で宙吊りにされている状態だ。 ゼウスが手を放せば、一瞬でキャリーは転落死する。 下にいるゼル達は息を飲んだ。 『今から始まるゲーム。それは、サバイバルゲーム・・・と言ったところでしょうか』 ゼウスはキャリーを吊している鎖を持ったまま、メガホン越しに言い放つ。 「サバイバルゲームだと?」 ゼルがつぶやく。 その時、ジャックは周囲わ見渡していた。 屋上にいる脱獄囚はゼウス一人。 ジャックは他の囚人達を探しているのだ。 『今より三日間、私達は散開します。その三日で、どれだけの人々が死に絶えるか・・・そういうゲームなのですよ』 ビルの屋上に吹く風が、宙吊り状態のキャリーを左右に揺らし始める。 しかし、ゼウスはしっかりと鎖をつかんでいるのか、キャリーが転落することはない。 『その三日間でどれだけ私達を捕えられるか、どれだけ犯罪を阻止できるか・・・』 冷や汗を流しながら下を見つめるキャリーをよそに、ゼウスは話を続ける。 『勝負と行こうじゃありませんか・・・私はあなた方にチャンスを与えているのです』 「はぁ?」 ゼルは顔をしかめる。 『三日の間、少なくとも今より私達を捕えやすくなるでしょう。これは神になる私が与えた、旧人類への最後のチャンスです』 「何を言って・・・」 『三日も与えてあげると言うんですから、それで全員を捕えなかった場合・・・私は本気で政府を潰します』 ゼウスはメガホンを放した。 メガホンは風に吹かれながら落下し、地面に触れたと同時に砕け散る。 「スタートです」 ゼウスは指を鳴らした。
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