異変

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「ゲホッ・・・な、なんだ?」 ジェームズは立ち上がりながらつぶやいた。 現れた10人は無言のまま、ジェームズを見つめている。 その両目に瞳はなく、真っ白な目が、より不気味さをかもしだしていた。 「聖杯の刺青?」 シャンクは首をかしげ、かざしている手を下ろした。 場に静寂と沈黙が訪れる。 その隙に、ロバートが立ち上がった。 「どうやらただごとじゃなさそうだな」 シャンクが言うと、ジェームズは10人の側に駆け寄る。 「ここは危険ですぜ?早く離れた方が・・・」 シャンクを警戒しつつ、ジェームズが10人に呼びかけたその瞬間・・・ 「S・・・C・・・H」 一人が低い声でつぶやくと、ジェームズは顔面を殴りつけられた。 「ぐっ・・・」 殴られたジェームズの首は後ろに少し伸びて、そのまま地面に尻持ちをつく。 「ハハ!」 それを見ていたシャンクは笑い声をあげ、楽しそうに10人を見つめる。 「排・・・除」 10人は一勢に倒れたジェームズを袋叩きにし始めた。 「ぐっ・・・ちょ、なんだよぃ!」 ジェームズは両腕を伸ばし、10人に巻き付けて動きを封じた。 束縛コンビの異名を持つジェームズはサラと同様に相手の動きを封じることができる。 ジェームズの腕に絡めとられた10人は動けなくなりつつも、まだジェームズに攻撃しようとしてくる。 「なにがどうなって・・・」 ジェームズは10人の動きを封じたまま立ち上がった。 「ご機嫌じゃねぇか・・・嫌われたなぁ、てめぇらも」 シャンクは笑いながら言い放つ。 「聖杯の刺青・・・過去にそんな事件があった」 ロバートが言うと、シャンクは旋風でロバートをふき飛ばした。 「・・・ッ!」 ロバートは倒れ、咳込む。 「どうでもいいが、しらけたぜ。俺はおいとまさせてもらうからよ」 シャンクはそう言ってジェームズにも旋風を放つ。 旋風はジェームズに直撃するとその余波で10人をもふき飛ばした。 「そいつらの相手でもしてろよ。ククク・・・」 シャンクはそう言うと、ビルの陰に姿を消した。 束縛から解放された10人は再びジェームズを襲う。 「何が・・・起きてる?」 ロバートは立ち上がると、10人を見てつぶやいた。
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