救出

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能力者達の監獄の中で、ひとつの殺人事件が起きようとしているその同時刻。 SCH本部の署長室には三人の男がいた。 署長のバーナード。 そして、昨日能力者による銀行強盗を解決した捜査官の二人。 束とゼルである。 二人は署長室の絨毯の上に正座し、バーナードの説教に耐えている。 バーナードの手には昨日の事件についての新聞が握られており、その新聞には昨日の現場の様子がでかでかと載せられていた。 「全く!理解できん・・・この新聞によれば、昨日お前達は人払いのために銃を発砲したらしいな?」 バーナードはひどくご立腹のようだ。 ハゲた頭の下に、まるで怒りマークそのもののようなしわが寄っている。 「しかも銀行のガラスを割り、裏口の扉を壊したそうじゃないか!え?」 「き、気のせいじゃないスかね・・・」 ゼルは恐る恐る答えた。 「気のせいだと!?お前らの発砲シーンは現場にいたテレビ局のカメラに残ってたんだよ!昨日の夜に郵便で届いていたわ!」 「「・・・・・・」」 バーナードの説教に、二人は言葉を失ったのか黙り込む。 「いいか!?犯人逮捕に挑むのはいいがもう少し周りに気を使ったらどうだ?現場にいた刑事も怒りまくってたぞ?」 「お言葉ですが署長。犯人は能力者でしたし、人払いをしなけりゃ大変なことになってたと思いますよ?」 束は頭を掻きながら言った。 足が痺れたのか正座の状態で貧乏ゆすりをしている。 「人払いとは銃で足下をぶっ放すことか?もっと穏便にやれんのか!?」 「そ、そう言われましても・・・一刻を争う状況でしたし。」 「言い訳をするな、他の皆はうまくやっとる。野次馬に発砲する捜査官などお前らだけだぞ?頼むからSCHの信用を落とさないでくれたまえ。」 「「・・・以後気を付けマッスル。」」 「ふざけてるのか!?」 「「と、とんでもない!」」 説教をされている時だけ、息がピッタリの二人である。
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