ＷＡＮＴＥＤ

工作

インターネット上にある裏サイト。

ＣＲと名付けられた犯罪サイトで、ゼウスを始めとする脱獄囚の懸賞金は今だに有効だった。

サイトの管理者は『ハデス』という謎の男。

ハンドルネームしかわからない男だが、脱獄囚にかけられた懸賞金は高額だ。

そんなサイトを、最近ずっと気にしている二人組がいる。

そしてその二人組は、すでにサバイバルゲームが始動した封鎖区域の近くまでやってきていた。

｢脱獄囚を全員捕えれば、一生遊んで暮らせるぜ？｣

白い車の助手席で、一人の男がにやけながらつぶやく。

｢そううまく行くか・・・｣

運転をしている男は眼鏡を光らせ、冷静に言葉を返す。

｢銀行強盗より儲かる。俺らなら余裕さ｣

｢過信はよくないぞ？｣

車は信号が青に変わるのを待っていた。

その車の横を、数人のＳＣＨが通り過ぎて行く。

｢にぎやかだねぇ｣

運転席に座り、窓越しに外を見つめる男がつぶやく。

｢まず、誰を狙う？｣

助手席の男はノートパソコンを拡げ、脱獄囚全員の顔写真を見ている。

｢見つけた奴から捕える。まずは探索だね｣

｢と、言っても俺らは札付きだ。ＳＣＨを警戒しつつだな｣

｢そういうことだ｣

信号が青に変わり、車は道路を進み始める。

｢戦闘は必至だぞ？大丈夫か？｣

運転している男はハンドルを左にきり、言った。

｢俺らの能力は最強だろ？｣

助手席の男は自信満々だ。

｢ま、なるようになるか｣

しばらく走って車を止め、二人は下りる。

｢行くか、べリアル｣

｢ああドール。久々の仕事だ｣

車から下りた二人組。

ドール・ベノムマン。

ベリアル・ジャクソン。

銀行強盗の二人組が、サバイバルゲームに参加する。