逆襲

33/33
37435人が本棚に入れています
本棚に追加
/702ページ
ルアナに迫り来る突風を、ゼルが止める。 「・・・怒ってるのは、こちらのお嬢さんだけじゃねぇんだぜ?」 ゼルはガオルが突風を放つと同時に走り出していた。 そしてルアナの前に立ち、両手で突風を受け止めている。 「ティタンってのはせこい組織だな」 ゼルはつかんだ突風を横に投げ捨て、ガオルを睨みつける。 「・・・ナンダト?」 「この二人がてめぇなんかにやられるかよ。何人がかりで来てたんだ?」 ゼルは指の関節を鳴らし、ルアナと共にガオルに近づいていく。 「他の奴らはお帰りかコラァ!調子に乗ってんじゃねぇぞ!!!」 「フザケルナ!」 怒鳴りつけるゼルに、ガオルは風の刃を放つ。 だが、ゼルは風の刃を殴りつけ、風の刃は消え去る。 「グ・・・クソガ!」 ガオルは周囲の風を集め、浮上する。 「逃げんのか!?」 ゼルは顔をしかめ、ガオルに言い放つ。 「【逃がさないよ!】」 ルアナが放った衝撃波が、ガオルを襲う。 「チィッイイイイ!」 ガオルは衝撃波をまともに受け、地面に落ちた。 そして、すかさず走り出したゼルはガオルの顔面に向かって蹴りを繰り出す。 「グム・・・!」 蹴りは顔面を適格に捉え、ガオルは後方にふき飛び、仰向けに倒れた。 「ガハッ!」 ガオルは起き上がらず、ついにその動きを止める。 ゼルはすみやかに手錠を取り出し、ガオルの両手にかけた。 「逮捕だクソ野郎」 ゼルはガオルを見下すように言い、ルアナに目をやる。 ルアナはすでに二人の元に駆け寄っていた。 それを見たゼルはすぐに駆け出し、二人の側にやって来た。 「・・・助かったぜ」 束は力なく倒れ、ゼルを見上げる。 ルアナが心配そうに見つめているが、束の意識は閉じていく。 「後でちゃんと説明しろよ?その無様っぷりをよ」 「へっ、言いやがって・・・」 その言葉を最後に、束は気絶した。 その現場に救急車が到着したのは、その20分後である。
/702ページ

最初のコメントを投稿しよう!