条件

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同時刻。 束達がいる場所とは違う封鎖区域内。 そこに、黒い着衣を見に纏い、紅い仮面をつけた男が立っていた。 そこはサバイバルゲームが始まった場所。 ゼウスがキャリーを吊し、車を爆発させたビルがある場所だ。 「ゼウス・・・」 上階部分がえぐれたビルを見上げ、男は爽やかな声で静かにつぶやいた。 と、そこに、一台の車がやって来た。 白いバン。 それは男の側で停車すると、中から二人の男が姿を現す。 「お?誰だお前」 助手席から降りた男が、ビルを見上げる人物に呼びかける。 「ここは封鎖区域の中。ここにいるということは能力者か」 運転席から降りた男は眼鏡をあげ、黒い髪を風になびかせる。 「SCHには見えねぇな」 助手席から降りた男が、仮面の男に歩み寄る。 「脱獄囚か!」 男はそう言うと、懐からナイフを取り出した。 「素顔を見せな」 ナイフを突き付け、男は命令する。 男はゆっくりと仮面に手をかけ、静かに外した。 真蒼の髪と瞳。 ナイフを突き付けている男はその瞳を見た瞬間、深海に引きずり込まれたような気がした。 「君たちは・・・誰だい?」 仮面を外した男は笑顔を作ると、二人に尋ねる。 「脱獄囚じゃないようだね」 眼鏡の男が、言葉を返した。 「質問しているのは僕だよ?」 蒼い髪の男はそう言うと、眼鏡の男に目を合わせる。 「人に名を尋ねる時は、まず自分から言ったらどうだ?」 眼鏡の男は負けずと、挑発的な口調で言った。 「それもそうだ」 男は紅い仮面を腰にかけると、深呼吸し、口を開いた。 「僕はハデス。ティタンという組織の、リーダーを務めている男だ」 それを聞いた二人は、同時に顔をしかめた。
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