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看守に案内され、ゼウスはヘルーダへとやってきた。
薄暗い廊下には、強化ガラスで造られた部屋が両の壁に並んでいる。
全部で10部屋あるその房の、3部屋がすでに使われていた。
透明のガラスなので、廊下からハッキリと中の様子が見える。
「フゥ、まるで動物園ですね。悪趣味だ。」
ゼウスは言いながらガラスの部屋の中に入って行った。
ガラスは正面だけで、後ろの壁や床、天井は紫色をした壁になっている。
ゼウスは手錠を外され、部屋に外から鍵をされた。
ガラスには小さな穴が空いており、外と会話ができるようになっている。
「あなたは人を殺したことがありますか?」
ゼウスは自分を連れてきた看守に尋ねた。
看守は顔をしかめると、ゼウスを無視してヘルーダから出て行った。
ヘルーダと通常の収容所を繋ぐ廊下の扉が、重い音と共に閉ざされる。
「なるほど、出口はあそこだけですね・・・」
ゼウスはつぶやくと部屋の中を見渡し始めた。
その様子を、廊下を挟んで向かいにいる男が注意深く見ている。
逆だった茶髪に、眼鏡をかけて囚人服を着ているその男に、ゼウスはニッコリと不気味に微笑んだ。
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