戦前

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ティタンvs脱獄囚の激突から30分後。 捜査を開始していたSCH捜査官達が、死闘が行われた現場へ足を運んでいた。 そして、現場にやってきたその全員が、その光景に驚愕する。 「なん・・・だこりゃあ?」 つぶやいたのはゼル。 他のメンバーは唖然とし、声さえ漏らさない。 中には顔をしかめ、険しい表情を見せている者もいた。 「こいつは・・・ど派手な戦闘があったらしいな」 束は火のついた煙草を持ち、煙を吐き出す。 沈下したビル。 ひび割れた地面。 崩れたビルの壁。 その光景の全てがは、現場で起こった死闘の凄まじさを現している。 現場に来ているのは束チームと束縛コンビ。 合計六人が駆け付けている。 「一体・・・何が起こったらこうなるの?」 サラは沈下したビルを見つめ、つぶやく。 ジェームズは、現場にただ一人で倒れている男の側に近づいていく。 蒼い髪に黒い着衣。 ティタンのリーダーハデスである。 「まだ生きてるようだぜぃ」 ジェームズはハデスの生死を確認すると束に伝えた。 その時、ハデスの側に落ちている携帯電話が鳴り響く。 「・・・うわっ!」 突然の出来事に、ジェームズは飛び退いた。 尚も鳴り響く電話を、束が拾い上げる。 「・・・もしもし?」 「出るのかよ!」 少しの躊躇(ちゅうちょ)もなく応対した束に、ゼルが叫ぶ。 しかし、束は無視して通話を続けた。 「もしもし?お~い。誰だコラ」 沈黙する通話相手に向かって、束は話しかけ続けた。 しばらくして、その沈黙は破られる。 『・・・まさか、あなたが出るとはね。捜査官さん』 聞き覚えのある声。 束の目付きが、険しくなる。 『相変わらず、頑張っているようですね。尊敬に値しますよ・・・』 電話の向こうで笑い声を放つ人物の名を、束は口にする。 「・・・ゼウス」
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