戦前

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束の言葉に、その場にいる全員が反応を見せた。 「何のつもりだ?」 『いえ、別に大した理由はありませんよ』 「嘘つけコラ。あきらかにSCH狙いでやったことだろうが。もしかして、ずっと鳴らしてたのか?」 通話をする束の側で、ゼルが電話に耳を近づける。 束はそれを押し返すと、再び電話に集中した。 『ずっと鳴らしていたなど、馬鹿みたいなことはしませんよ』 「そうかよ。俺も、お前と電話するなんて馬鹿みたいなことはやめるわ」 そう言って、束は電話を切ろうとする。 『そこに倒れているそれは、ティタンのリーダーです』 その言葉に、束は電話を切るのを止める。 『政府への手土産・・・と言ったところですか。私からのささやかなプレゼントです』 束は倒れているハデスに視線を移す。 「ティタンのリーダーってことは、お前の兄だな?」 『おやおや、もうそんなに調べたんですか。恐縮ですねぇ』 「けっ、お前も自分の身内は殺せねぇかよ」 『・・・それは違いますよ捜査官さん』 急に険しくなったゼウスの声色に、束は意識を集中させる。 「何がだ?」 『今それを殺さないのは、保険ですよ。後から必ず効いて来ます。何年後かに必ずね』 「・・・あ?」 『まぁ、あなたには関係のない話ですよ。場合によっては、何の意味もないですしね』 「何言ってんだお前?」 『フフ・・・こちらの話です。とりあえず、電話をかけたのはSCHに報告をしようかと思いまして』 束は顔をしかめる。 「報告?自首すんのかよ」 『そんな馬鹿な。私は、新たに組織を立ち上げました』 「組織だ?一体どういう・・・」 『オリュンポス。私がリーダーを務める、新たな犯罪組織ですよ。能力者のね』 「・・・ふざけんなよコラ」
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