決戦

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鳴り響く轟音。 周囲を巻き込む地響き。 軍鑑が見える港で、マルスとアンソニーの激闘は続いていた。 「ぬぅああああ!」 アンソニーの右腕には、巨大な雪の拳が生成されている。 対するマルスは、その雪に向かって手をかざす。 そして、アンソニーが放つ前に、雪の拳は突如起こった爆発によって砕け散った。 黒くなった雪の残骸が、アンソニーに降り注ぐ。 「なるほど・・・さすがはSCH最強を名乗ることはある」 アンソニーは微笑し、感心するように言った。 「俺の力を過小しているな。今までのが本気だとでも思ったか?」 マルスは冷静に言葉を返し、アンソニーに歩み寄る。 マルスの能力は、 【触れたものを爆発させる力】。 マルスが触れたものは、爆弾となり、マルスの意思でいつでも起爆させることができる。 そして、最も怖いのが触れていないものまで爆発させることができる。 それは範囲指定。 半径50メートル以内で好きな範囲を設定し、起爆させることができるのだ。 例えマルスから離れていても、範囲指定により爆発に巻き込まれてしまう。 しかし、その能力にも欠点がある。 範囲指定を行う際、爆発までに時間がかかってしまう。 それは広い範囲であればあるほど、手をかざしてから起爆までの時間が長い。 最短で三秒。 人を一人呑み込める規模の爆発で、かかる時間だ。 手をかざしてからの時間差がある為、気づかれればほとんどの確率で避けられてしまう。 それがこの能力の最大の弱点だ。 その欠点を補う為に、マルスは相手との距離を詰める。 大規模な能力を持ちながらも接近戦。 それが、マルスの戦闘スタイルだ。 「さっさと殲滅する。俺は飽きっぽいんでな」 マルスはそう言うと、懐からゴルフボールを取り出し、アンソニーに投げつけた。
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