37473人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぐはっ・・・!」
束は立ち上がり、鼻から垂れる血を拭う。
「まだ終わらないですよ!能力者の時代は、必ずやってくる!!」
ゼウスの言葉に、束は顔をしかめた。
「あなたは知らないだけだ!これからやって来る巨大な流れを、止める方法は存在しない!」
大声で叫び放つゼウスの顔面に、束の拳が突き刺さる。
「がッ・・・は!」
ゼウスは倒れ、とうとう気を失った。
「知るかよ・・・」
激しく息を切らし、仰向け状態のゼウスに、束は言葉を投げかける。
「誰が何をしようが、俺が全部止めてやる。もうお前に、脱獄はさせねぇ!」
束は床に膝をつき、空を見上げる。
鮮やかに輝く太陽は、束の勝利を讃えるように、辺りの雲を打ち消しているようだった。
「・・・った」
小さくつぶやいた後、大きく息を吸い込んだ束は絶叫をあげる。
「・・・勝ったぞぉ!」
両腕を空に向けて突き出す束に、意識を取り戻したルアナとキャリーが抱きついた。
「「束ー」」
二人は涙を流し、自分の頬を束に擦りつける。
「死んだかと思ったよ~」
「心配かけないでよ!馬鹿!」
自分の胸で泣き泣けぶ二人に、束は笑みを見せる。
「心配かけて悪かったな」
二人の頭を優しく撫で、束はボートを見た。
「ロリコンが・・・」
くやしがるアンディの隣で、ゼルは親指を突き立てる。
他のメンバー達も笑みを浮かべ、ボロボロの体で勝利の実感を感じ取っていた。
真紅の暴挙と呼ばれることになる一連の事件。
脱獄囚ゼウスが率いる悪の軍団に、束達は勝利した。
互いに重傷者が多く出た為、全員を乗せたボートは港へと帰還を開始する。
ボートに乗るSCHは、勝利に酔いしれる。
これからやって来る、巨大な流れ。
それが何をもたらすかも知らずに・・・
最初のコメントを投稿しよう!