決戦

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「ぐはっ・・・!」 束は立ち上がり、鼻から垂れる血を拭う。 「まだ終わらないですよ!能力者の時代は、必ずやってくる!!」 ゼウスの言葉に、束は顔をしかめた。 「あなたは知らないだけだ!これからやって来る巨大な流れを、止める方法は存在しない!」 大声で叫び放つゼウスの顔面に、束の拳が突き刺さる。 「がッ・・・は!」 ゼウスは倒れ、とうとう気を失った。 「知るかよ・・・」 激しく息を切らし、仰向け状態のゼウスに、束は言葉を投げかける。 「誰が何をしようが、俺が全部止めてやる。もうお前に、脱獄はさせねぇ!」 束は床に膝をつき、空を見上げる。 鮮やかに輝く太陽は、束の勝利を讃えるように、辺りの雲を打ち消しているようだった。 「・・・った」 小さくつぶやいた後、大きく息を吸い込んだ束は絶叫をあげる。 「・・・勝ったぞぉ!」 両腕を空に向けて突き出す束に、意識を取り戻したルアナとキャリーが抱きついた。 「「束ー」」 二人は涙を流し、自分の頬を束に擦りつける。 「死んだかと思ったよ~」 「心配かけないでよ!馬鹿!」 自分の胸で泣き泣けぶ二人に、束は笑みを見せる。 「心配かけて悪かったな」 二人の頭を優しく撫で、束はボートを見た。 「ロリコンが・・・」 くやしがるアンディの隣で、ゼルは親指を突き立てる。 他のメンバー達も笑みを浮かべ、ボロボロの体で勝利の実感を感じ取っていた。 真紅の暴挙と呼ばれることになる一連の事件。 脱獄囚ゼウスが率いる悪の軍団に、束達は勝利した。 互いに重傷者が多く出た為、全員を乗せたボートは港へと帰還を開始する。 ボートに乗るSCHは、勝利に酔いしれる。 これからやって来る、巨大な流れ。 それが何をもたらすかも知らずに・・・
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