紹介

2/20
37431人が本棚に入れています
本棚に追加
/702ページ
翌日 SCH捜査官、空良 束は自分の部屋で目が覚めた。 寝惚けた表情で目覚ましのスイッチを切ると、あくびをしながら洗面所に向かった。 今の時間なら多少ゆっくりしても遅刻することはない。 束は久々に朝を堪能できると思い、少し気分が和らいだ。 寝室のドアを開け、リビングに出る。 「あ、おはよっ。」 束はそこでいったんフリーズする。 テーブルに目をやると二人分の食事が並べられていた。 「どうかしたの?」 「い、いや別に。」 「ふ~ん、変なの。」 今、束の家にいるのは女子高生 ルアナ・ハード。 昨日、廃病院にて束やゼルと騒動を起こした爆音の能力者である。 バーナードの取り調べにより、監獄収容必要無しと判断されたルアナは自分から進んでSCH捜査官になり、今は束の今に居候している。 しかし、ただの居候ならまだしも、昨日ルアナは束の妻になると言い出した。 昨日はなんとかごまかしたが、やがてまた言ってくるだろう。 朝の清々しい気分が一気にふき飛んだ。 まるで昨日、爆音を喰らった時のように。 「さ、食べましょ?今日も仕事なんだし。」 ルアナはウキウキ気分で椅子に座った。 束は一人暮らしだが、客人用に椅子は二つある。 もっとも、テーブルを購入した際に椅子が二つ付いてきただけだが・・・ 「ああ。」 束はとまどいながらも椅子に腰かけた。 そして目の前にあるベーコンエッグを口に運ぶ。 「うまいな。」 お世辞ではなく本心だった。 「そう?孤児院で子供達の世話を手伝ってたから料理は得意なんだ~」 「あ、そっか。」 束は黙々と食事を続ける。 「よかった~、不味いって言われたら立ち直れなかったよ~」 「そっか?」 「なんか冷たいよね?あたしお嫁さんなのに・・・」 空良 束、口からコーヒーを噴射。 「ゴホッ!」 さらにむせる。 「あ、何その反応!嫌なの?」 「いや、別にそういうわけじゃ・・・」 束が言葉を詰まらせた時、携帯電話が鳴る。 束は素早く電話を取ると話を始めた。 相手はバーナードだった。 「グッドタイミング署長!」 束は電話に向かって叫ぶが、バーナードは何のことかわからなかった。
/702ページ

最初のコメントを投稿しよう!