暗闇、慟哭、嘆き

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 当たり前だけど、世界には僕一人だけがいるわけではない。人間は六十億人居て、動物はそれ以上の数が住んでいて、数え切れない程の様々な生き物が生きている。彼らは皆、何かを求めて、何かを望みながら生きている。  そんな世界の中で、僕一人だけの願いが叶う何て事は、海に落ちた一本の髪の毛を見付ける事が出来るくらいの可能性すら秘めてはいないに決まっている。  だからと言って、世界は決して平等ではなく、いろんな格差がある。植物は虫に喰われ虫は動物に食べられる。動物の中でも襲うモノ襲われるモノがいる。そう、弱肉強食の世界だ。  人間だって身体能力が優れている人も居れば、体の一部が無い人も居る。何でもすらすらと覚えれる人も居たり、喋れない人も居たりする。衣食住に困らない人もいれば、明日の朝日を拝む事が出来ないくらい貧しい人もいる。  何に生まれるか、どんな風な環境に生まれるかは全て世界の運命に定められていて。  悲惨な運命から逃れる事が出来るのは、極一部。みな全部は救われない。いや、もしかすると救うことが出来ないだけかもしれない。  だけれども。  報われたモノは皆、報われるような事をしたのだ。そう、何か行動を起こさなければ、何も始まらない。世界は望むだけのモノに対しては冷たいんだ。  これが僕が考えている世界の在り方。僕にとっての世界はこんな感じだった。  そして。  僕は望むだけしかしない、救われない人間だった。
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