第二章 長門有希参上!

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「佐々木?よくある姓ではあるが僕の知り合いには今のところ佐々木に該当する存在は居ないな。そもそも君はこの部屋を文芸部室と知って訪れたのだろう?ならば君が捜しているのはこの長門有希ただ一人の筈だが」  うん、やっと落ち着いてきた。  確かに佐々木も変わった奴だったが今見た限りは長門もかなりの変わり者だそれならば喋り方の一つや二つが被っていても仕方がない。 「ああ、俺はだな……」  そこで少しだけ悩む、いったいなんと説明すべきなのか?軽い自己紹介から入るべきか?それともいきなり本題からいくか?  自分でも呆れる、見事になにも考えていなかった。 「ふむ、日本語は操れるらしいね、よもや外国人ではないかと緊張したよ。あるいは耳や口に障害を抱えていて僕は凄く無神経なことを言ってしまっているのかと思い悩みもした。しかしそれでは何故君はまたも黙っているんだい?新入部員になりたくて緊張しているのかな?だったら安心してくれて良いよ。僕も部長といえば部長だが同じ一年生だ、君のような人が入部してくれるなら僕も嬉しい、歓迎するよ」  それにしても本当によく喋る奴だ。 「長門。悪いが俺は新入部員じゃないんだ」  初対面の相手を呼び捨てにするのは些か気が引けたがしゃべり方のせいか不思議と長門有希は話しやすい女だった。 「それは大変興味深いね。それでは入部希望者でもなく僕個人の友人でもない君はいったい如何なる用件でこの部室にやってきたのかな?」  どうでもいいが長い、もっと意訳して喋ったらどうだ? 「近々俺達は新しい部活もしくは同好会を立ち上げたいと思っているんだが。部室がない、更に言えば部員と顧問もいない」 「なるほど。つまりそれで部室、部室、全てがあり尚且つ乗っ取りやすい部として我が文芸部に白羽の矢が立った。という事かな?」  話が早くて助かるよ。『乗っ取りやすい』という部分はどうやら俺の見込み違いだったらしいがな。 「しかしながら簡単には了承出来かねるな。何せ君達の部活動は今のところ存在もしていないわけだろう?マズは生徒会室か職員室に行くべきではないだろうか」  確かにそれが正論だな、だが長門よ世界は正論だけでは回らないんだよ。
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